心臓血管外科
担当医師
事業管理者 | 和泉 裕一(いずみ ゆういち) |
---|---|
病院長 | 眞岸 克明(まぎし かつあき) |
診療部長 | 木村 文昭(きむら ふみあき) |
医員 | 伊佐 秀貴(いさ ひでき) |
医員 | 河原林 佑(かわらばやし たすく) |
概要
診療実績
年間手術数 約230件
手術対象疾患:成人の心臓・大血管疾患,末梢動脈疾患,静脈疾患
最近のトピックス
心臓血管外科では、主に心臓、大血管、末梢動脈、静脈などの循環に携わる臓器を対象に手術を施行することで循環器系疾患を治療しております。
このような循環器系疾患は直接生命にかかわる疾患が多く、そのような疾患に対する手術はどうしても患者様の負担となる手術が多くなる傾向があります。
しかしながら、名寄を含めた上川北部や宗谷管内は患者様の高齢化も進んでおり、できるかぎり低侵襲(体に負担がかからない)な治療が望ましい状況となっています。
このような現状から、当科でも手術の低侵襲化に積極的に取り組んでおり、そのトピックスを紹介します。
このような循環器系疾患は直接生命にかかわる疾患が多く、そのような疾患に対する手術はどうしても患者様の負担となる手術が多くなる傾向があります。
しかしながら、名寄を含めた上川北部や宗谷管内は患者様の高齢化も進んでおり、できるかぎり低侵襲(体に負担がかからない)な治療が望ましい状況となっています。
このような現状から、当科でも手術の低侵襲化に積極的に取り組んでおり、そのトピックスを紹介します。
① 低侵襲心臓外科手術(Minimally Invasive Cardiac Surgery:MICS)
心臓疾患(主に心臓弁膜症や冠動脈疾患)に対する外科手術は、胸部を大きく切開し(20~25㎝程度)(図1)、人工心肺を使用するため患者さんへの負担がかかるという欠点があります。
図1

当院では、患者さまへの負担を軽減するために、胸腔鏡(カメラ)を用いて、小さい傷(約7㎝)程度(図2)で心臓弁膜症や冠動脈疾患に対する手術を施行することが可能です。
図2

このような低侵襲心臓手術は、心臓血管外科を有するどこの病院でも施行可能ではありません。(2025年時:上川宗谷管内で当院を含めて2施設のみ)当院ではこの小切開手術を施行可能な資格を有する外科医がおり、小切開手術が適応可能な心臓疾患の患者様には、積極的に小切開手術を提案させていただきます。
心臓疾患(主に心臓弁膜症や冠動脈疾患)に対する外科手術は、胸部を大きく切開し(20~25㎝程度)(図1)、人工心肺を使用するため患者さんへの負担がかかるという欠点があります。
図1

当院では、患者さまへの負担を軽減するために、胸腔鏡(カメラ)を用いて、小さい傷(約7㎝)程度(図2)で心臓弁膜症や冠動脈疾患に対する手術を施行することが可能です。
図2

このような低侵襲心臓手術は、心臓血管外科を有するどこの病院でも施行可能ではありません。(2025年時:上川宗谷管内で当院を含めて2施設のみ)当院ではこの小切開手術を施行可能な資格を有する外科医がおり、小切開手術が適応可能な心臓疾患の患者様には、積極的に小切開手術を提案させていただきます。
② 大動脈瘤に対する低侵襲治療(ステントグラフト治療)
心臓から全身へ血液を送る太い血管は大動脈といわれています。この大動脈が動脈硬化などが原因で、徐々に拡張しこぶ(瘤)になる疾患を大動脈瘤といいます。風船と同じようにある程度の大きさを超えると破裂する危険が高くなり、破裂した場合は大量出血により救命困難な状態に至る可能性が高いです。治療の適応となる大動脈瘤の大きさは、胸部 径5.5㎝~6.0cm、腹部 径4.5㎝~5.0㎝と言われています。
動脈瘤に関しては、残念ながら破裂を防止するような内服薬は存在しません。このため、瘤径が大きくなって破裂の危険が出てきた場合は、手術が必要になります。手術方法としては、大きく2つに分けられます。一つは、胸やお腹を開けて(開胸や開腹)直接瘤となっている大動脈を人工血管と取り換える(人工血管置換)手術です。もう一つは、足のつけね(鼠径部)の動脈からカテーテルを用いて瘤のある部位へばね付き人工血管(ステントグラフト)を留置することで破裂を予防する手術(ステントグラフト内挿術)があります。(図1)
図1

それぞれ、長所短所がありますが、人工血管置換は開胸や開腹が必要となり傷が大きくなる(図2)のが短所でありますが、一旦変えた人工血管はかなり長期の耐用性を備えているため術後の心配はないのが長所です。対してステントグラフト治療は鼠径部を小切開するのみであるため傷が小さい(図2)というのが非常に有用な長所ではありますが、瘤の形によっては治療できない場合があることと術後3%程度の患者様で遠隔期(手術後時間が経過してから)追加治療が必要になることが短所といえます。
図2

ステントグラフト治療を施行する上で非常に重要なことが、手術中の血管造影画像の精度です。当院では、2024年10月から最先端の手術用血管造影装置を備えた手術室(ハイブリッド手術室)が稼働しております。(写真1)この最先端装置により、非常に高精細な手術画像が得られるため、当院でのステントグラフト治療は非常に正確かつ時間短縮されてきております。このようなハイブリッド手術室は、上川宗谷管内では、旭川医大と当院でしか稼働しておりません。当院では、大動脈瘤破裂も含めた緊急手術でもいつでも対応可能となっております。
写真1

上川宗谷管内では、患者様の高齢化が進行しており、開胸や開腹による人工血管置換より低侵襲なステントグラフト治療が選択される場合が多いです。当院では、年間約50~60症例程度の胸部大動脈瘤や腹部大動脈瘤の手術を施行しておりますが、うち約8割の患者様にステントグラフト治療を施行しております。
心臓から全身へ血液を送る太い血管は大動脈といわれています。この大動脈が動脈硬化などが原因で、徐々に拡張しこぶ(瘤)になる疾患を大動脈瘤といいます。風船と同じようにある程度の大きさを超えると破裂する危険が高くなり、破裂した場合は大量出血により救命困難な状態に至る可能性が高いです。治療の適応となる大動脈瘤の大きさは、胸部 径5.5㎝~6.0cm、腹部 径4.5㎝~5.0㎝と言われています。
動脈瘤に関しては、残念ながら破裂を防止するような内服薬は存在しません。このため、瘤径が大きくなって破裂の危険が出てきた場合は、手術が必要になります。手術方法としては、大きく2つに分けられます。一つは、胸やお腹を開けて(開胸や開腹)直接瘤となっている大動脈を人工血管と取り換える(人工血管置換)手術です。もう一つは、足のつけね(鼠径部)の動脈からカテーテルを用いて瘤のある部位へばね付き人工血管(ステントグラフト)を留置することで破裂を予防する手術(ステントグラフト内挿術)があります。(図1)
図1

それぞれ、長所短所がありますが、人工血管置換は開胸や開腹が必要となり傷が大きくなる(図2)のが短所でありますが、一旦変えた人工血管はかなり長期の耐用性を備えているため術後の心配はないのが長所です。対してステントグラフト治療は鼠径部を小切開するのみであるため傷が小さい(図2)というのが非常に有用な長所ではありますが、瘤の形によっては治療できない場合があることと術後3%程度の患者様で遠隔期(手術後時間が経過してから)追加治療が必要になることが短所といえます。
図2

ステントグラフト治療を施行する上で非常に重要なことが、手術中の血管造影画像の精度です。当院では、2024年10月から最先端の手術用血管造影装置を備えた手術室(ハイブリッド手術室)が稼働しております。(写真1)この最先端装置により、非常に高精細な手術画像が得られるため、当院でのステントグラフト治療は非常に正確かつ時間短縮されてきております。このようなハイブリッド手術室は、上川宗谷管内では、旭川医大と当院でしか稼働しておりません。当院では、大動脈瘤破裂も含めた緊急手術でもいつでも対応可能となっております。
写真1

上川宗谷管内では、患者様の高齢化が進行しており、開胸や開腹による人工血管置換より低侵襲なステントグラフト治療が選択される場合が多いです。当院では、年間約50~60症例程度の胸部大動脈瘤や腹部大動脈瘤の手術を施行しておりますが、うち約8割の患者様にステントグラフト治療を施行しております。
手術症例(過去)
心臓・胸部大動脈 手術 |
腹部大動脈手術 | 末梢動脈疾患手術 | 内シャント | 下肢静脈瘤手術 | |
---|---|---|---|---|---|
令和元年 | 44 | 37 | 29 | 31 | 48 |
令和2年 | 44 | 31 | 27 | 20 | 50 |
令和3年 | 41 | 24 | 42 | 47 | 42 |
令和4年 | 33 | 15 | 30 | 41 | 27 |
令和5年 | 20 | 12 | 32 | 21 | 25 |
令和6年 | 53 | 38 | 20 | 38 | 20 |
スタッフ紹介
和泉 裕一(いずみ ゆういち)
職名 | 事業管理者 | ||
---|---|---|---|
出身学校 | 旭川医科大学 | 卒業年 | 昭和55年 |
主な経歴 | 昭和55年 | 旭川医科大学 大学院医学研究科入学 | |
旭川医科大学 第一外科 | |||
昭和59年 | 旭川医科大学 大学院医学研究科修了(医学博士) | ||
旭川医科大学 第一外科 助手 | |||
昭和62年 | 留萌市立総合病院 外科 医長 | ||
平成1年 | 旭川医科大学 第一外科 助手 | ||
平成2年 | The Hope Heart Institute (Seattle,WA,USA) | ||
Providence Medical Center(Seattle,WA,USA) | |||
平成5年 | 名寄市立総合病院 心臓血管外科 医長 | ||
平成11年 | 名寄市立総合病院 診療部長 | ||
平成15年4月 | 名寄市立総合病院 副院長 | ||
平成25年4月 | 名寄市立総合病院 院長 | ||
平成30年4月 | 名寄市立総合病院 院長 兼 名寄市病院事業管理者 | ||
令和2年4月 | 名寄市病院事業管理者 | ||
専門分野 | 心臓血管外科(冠動脈外科、大動脈外科、末梢血管外科) | ||
専門医・資格 | 日本心臓血管外科学会 心臓血管外科専門医 | ||
心臓血管外科修練指導者 | |||
日本外科学会 外科専門医、指導医医 | |||
日本胸部外科学会指導医 | |||
胸部ステントグラフト指導医(GORE TAG、Zenith TX2) | |||
腹部ステントグラフト指導医(Zenith、Excluder、Powerlink) | |||
日本血管外科学会認定血管内治療医 | |||
日本脈管学会 認定脈管専門医、研修指導医 | |||
所属学会 | 日本外科学会 | ||
日本胸部外科学会 | |||
日本心臓血管外科学会(特別会員、国際会員) | |||
日本冠動脈外科学会、日本血管外科学会(特別会員) | |||
日本脈管学会(特別会員)、日本臨床外科学会(特別会員) | |||
日本静脈学会(特別会員) | |||
日本循環器学会、国際脈管学会、アジア血管外科学会 | |||
日本フットケア・足病医学会(評議員) | |||
日本医療マネージメント学会 |
眞岸 克明(まぎし かつあき)
職名 | 院長 | ||
---|---|---|---|
出身学校 | 旭川医科大学 | 卒業年 | 平成4年 |
主な経歴 | 平成4年 | 旭川医科大学 大学院医学研究科入学 | |
旭川医科大学 第一外科 | |||
平成8年 | 旭川医科大学 大学院医学研究科修了(医学博士) | ||
平成8年 | 旭川赤十字病院 麻酔科 | ||
平成8年 | 旭川医科大学 第一外科 医員 | ||
平成11年 | 名寄市立総合病院 心臓血管外科 医員 | ||
平成13年 | 名寄市立総合病院 心臓血管外科 医長 | ||
平成24年 | 名寄市立総合病院 診療部長 | ||
平成28年10月 | 名寄市立総合病院 統括診療部長 | ||
令和2年4月 | 名寄市立総合病院 副院長 | ||
令和4年4月 | 名寄市立総合病院 院長 | ||
専門分野 | 心臓血管外科(成人循環器外科) | ||
専門医・資格 | 日本外科学会 外科専門医、指導医医 | ||
日本心臓血管外科学会 心臓血管外科専門医 | |||
心臓血管外科修練指導者 | |||
腹部ステントグラフト指導医(Zenith、Excluder、Powerlink) | |||
胸部ステントグラフト指導医(Zenith TX2) | |||
日本胸部外科学会 認定医 | |||
日本脈管学会認定脈管専門医 | |||
下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術の実施基準による実施医 | |||
所属学会 | 日本胸部外科学会 | ||
日本心臓血管外科学会 | |||
日本血管外科学会 | |||
日本静脈学会 | |||
日本循環器学会 | |||
日本臨床外科学会 | |||
日本冠動脈外科学会 | |||
日本脈管学会(評議員) | |||
日本外科学会 |
木村 文昭(きむら ふみあき)
職名 | 診療部長 | ||
---|---|---|---|
出身学校 | 旭川医科大学 | 卒業年 | 平成15年 |
主な経歴 | 平成15年 | 旭川医科大学病院 第一外科 | |
平成15年 | 国立札幌病院 心臓血管外科 | ||
平成16年 | 名寄市立総合病院 心臓血管外科 | ||
平成17年 | 旭川医科大学病院 第一外科 | ||
平成18年 | 留萌市立病院 外科 | ||
平成20年 | 旭川医科大学病院 第一外科 | ||
平成21年 | 旭川医科大学 救急医学講座 助教 | ||
平成22年 | 国立帯広病院 心臓血管外科 | ||
平成26年 | 旭川医科大学 外科学講座 心臓大血管外科学分野 助教 | ||
平成28年 | 釧路孝仁会記念病院 心臓血管外科 部長 | ||
令和5年 | 釧路孝仁会記念病院 副院長 兼 心臓血管外科 部長 | ||
令和6年 | 名寄市立総合病院 診療部長 | ||
専門分野 | 心臓血管外科 | ||
専門医・資格 | 三学会構成心臓血管外科専門医認定機構 心臓血管外科専門医 | ||
日本外科学会 外科専門医 | |||
日本血管外科学会認定 血管内治療医 | |||
胸部ステントグラフト 指導医 | |||
所属学会 | 日本外科学会 |
伊佐 秀貴(いさ ひでき)
職名 | 医員 | ||
---|---|---|---|
出身学校 | 旭川医科大学 | 卒業年 | 平成31年 |
主な経歴 | 平成31年 | 八雲総合病院 研修医 | |
令和2年 | 旭川医科大学病院 研修医 | ||
令和3年 | かわぐち心臓呼吸器病院 医長 | ||
令和4年 | 社会医療法人孝仁会 釧路孝仁会記念病院 医員 | ||
令和5年 | 旭川医科大学病院 医員 | ||
令和6年 | ランパーン病院 クリニカルフェロー | ||
令和7年 | 名寄市立総合病院 医員 | ||
専門分野 | |||
専門医・資格 | 日本外科学会 外科専門医 | ||
所属学会 |
河原林 佑(かわらばやし たすく)
職名 | 医員 | ||
---|---|---|---|
出身学校 | 秋田大学 | 卒業年 | 令和5年 |
主な経歴 | 令和5年 | 秋田厚生医療センター 研修医 | |
令和7年 | 旭川医科大学病院 医員 | ||
令和7年8月 | 名寄市立総合病院 医員 | ||
専門分野 | |||
専門医・資格 | |||
所属学会 |
本文ここまで